196)愛媛県では 鬼北町だけが実践している。「コミュニティー・スクール」とは何か?

前回(195)うわじま子ども観光大使実行委員長の信藤先生が、新たなチャレンジとして「NPOえひめ教育技術研究所」を立ち上げたということをご紹介しました。
その前回の記事の中で、信藤先生の取り組みに関連して次のように書きました。

アクティブ・ラーニングコミュニティー・スクール
これとの関連では、今日(6/26)の愛媛新聞の「キーパーソン」の欄に鬼北町教育長の筒井さんの記事が掲載されていました。
次回、この記事も取り上げながら信藤先生の取り組みとそれを支える地域の役割、その意味などについて考えてみます。

まずは筒井さんの【古里を愛する心育てる】というタイトルの記事を見てみます。
そして、信藤先生と宇和島水産高校の鈴木先生の取り組みやご発言と幾つか共通するところがありますからそこを確認していきます。

共通事項を表すのは次のキーワードです。
「地域とともにある学校」「コミュニティー・スクール」「チーム学校」
「アクティブ・ラーニング」
初めて耳にするという方もいらっしゃるかもしれません。大丈夫です。
いずれも、今後の国や地域の持続可能性を考えれば、学校のみならず地域全体の課題として、そして、子どものみならず大人も含めた地域の人たち全員の課題として、向き合うことが必要になっていきます。
このため、次回以降も何回かに分けて取り上げていきます。

それでは、鬼北町の「コミュニティー・スクール」の記事を見てみましょう。

PicsArt_鬼北町教育長

記事からいくつか拾ってみます。

地域住民や保護者が学校運営に参画する「コミュニティー スクール」

児童生徒が地域について学ぶ独自カリキュラム「郷土学」に取り組んでいる。

4年目を迎え、講師役などを通じて地域住民の学校に対する理解が深まり、教職員にも地域とともに教育を進めていこうとする意識が芽生えている。

一方で運営の中心となる一部教職員や地域の一定の人に負荷がかかっている課題もある。

より体系化し継続できる形づくりに努める。

地域が元気であり続けるには、学校の存在は不可欠だ。行政効率や教育環境の整備など統廃合はやむを得ない面もあるが、学校が身近にあることは大切。

運営する中で世代を超えた交流も生まれ、地域の活性化にも寄与していく。

地域の人と関わりさまざまなことを教わる中で、愛されている喜びを感じて成長し、育った場所を大切に思う心が醸成されていくだろう。その過程はきっと地域に活力を与える

いずれ子どもたちは自分たちの夢や目標に向けて歩み出す。見守られて育った環境を胸に、自分の未来を切り開いてほしい。その中から将来、巣立った場所を守ろうと古里に戻る人が一人でも多く現れれば幸いだ

「古里を愛する心育てる」
「地域とともに教育を進めていこう」
「地域の人と関わりさまざまなことを教わる~その過程はきっと地域に活力を与える。」
「その中から将来~古里に戻る人が一人でも多く現れれば幸いだ。」
とあります。

ここで、(177)でご紹介した鈴木先生の「伊予弁」を見てみます。
こうあります。
「地域や学校への愛着と誇り、感謝。」
「地域とともに歩む水産教育」
「地域は若者を支え、若者は地域に活気をもたらす。」
「地元で育てられた生徒が~いずれは、また若者を育てる立場へと回遊することを期待している。」

筒井教育長と鈴木先生は、全く同じことをおっしゃっていることがわかります。このことは偶然なのでしょうか。

そして、うわじま子ども観光大使のホームページと、(179)でご紹介した信藤先生のコメントを見てみます。
「子どもたちは宇和島をより好きになり,誇りをもつようになります。」
「宇和島のよいところ、それらを知り,体験します。そして,地域のよさを伝え,発信することで,よりよいまちづくりをします。」
「身近な先輩から教えてもらう、身近な後輩に教えていくという縦のつながりは、これからの宇和島に必ず必要になってくるもの」
「自分が住んでいるところ大好きになることは,これからのまちづくり教育において極めて大切なことです。」
「「水産高」と「うわじま子ども観光大使」のつながりの中で実現できたことに価値があるのです。これが単発ではなく、続いていくものとしていかねばならないと強く強く思いました。」

結局のところ、信藤先生も全く同じことを言っています。
そして、この三人とそのチームは、言ってるだけではなく、既に実行していて、結果も出している。しかもその結果は高く評価されており、発展もしている。こういう共通点もあるのです。

要するにこういうことなんだと思います。
生徒・先生・学校が、地域の産業や伝統などについて、地域の人と世代を超えて直接に関わりながら、体験を通じて学ぶとともに、地域への自信や誇りを醸成し、外に向けて発信できるようになるそのような地域を担う人材の育成。そのような取り組み。それを既にやっている。

さらに(157)で、鈴木先生はこう書いています。
産学官連携とフィッシュガール
産学官連携での県産魚PRが始まった。」
「高校生が発信するこの取り組みが地方創生のモデルになりはしないか」

アクティブ・ラーニングの実践校
「教育の世界で急速に浸透しつつある「アクティブ・ラーニング」」
「それは体験学習問題解決学習を通して自ら考える学習法である」
「宇和島水産高校では以前から能動的な取り組みを行っている」
「つまり本校の「アクティブ・ラーニング」とは、生徒が学ぶことによって、周りの方々への感謝や気付きを実感させるものでもある」

さて、前半で紹介した次のキーワード。
「地域とともにある学校」「コミュニティー・スクール」「チーム学校」
「アクティブ・ラーニング」
参考になりそうなサイトの記事を紹介して、今回は〆ようと思います。

高齢化などによる影響で、地域の力が失われつつあると同時に、少子化による学校統廃合なども、大きな問題となっています。これに対応するため、文部科学省は、地域と学校の連携・協働を推進するための事例集を作成しました。同省が打ち出した「地域とともにある学校」の狙いとは、一体何でしょうか。

「地域とともにある学校」って何?

コミュニティ・スクールは、学校と保護者や地域の皆さんがともに知恵を出し合い、学校運営に意見を反映させることで、一緒に協働しながら子どもたちの豊かな成長を支え「地域とともにある学校づくり」を進める仕組みです。

コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)について

教育関連の新聞、書籍、雑誌など、「アクティブ・ラーニング」の特集を目にすることが多くなりました。皆さんも見かけたことがあるのではないでしょうか。本稿では、アクティブ・ラーニングがなぜ注目されているのか、そしてどのようなものなのかについて、初等中等教育分科会の教育課程企画特別部会が2015年8月に発表した『論点整理』を中心に確認していきます。

意外と知らない“アクティブ・ラーニングのねらい”

これらのテーマについては、地域にとって大きな課題の一つになっていきますので、次回以降も引き続き考えていきます。

最後に参考として、この4月に取りまとめられた経団連の報告書を紹介します。
次のリンクからPDFをダウンロードできます。

本年4月より、中央教育審議会(以下、中教審)において、政府の教育に関
する総合計画である「第3期教育振興基本計画」(以下、次期計画)の検討が開始された。この機会を捉え、現時点で、「第2期教育振興基本計画」(以下、現計画)の進捗に対する評価を行うとともに、次期計画の策定に向けて、産業界の教育改革に関する問題意識や課題に関する基本的考えを整理する。
個別の課題については、今後の中教審における検討の進捗に合わせ、必要に応じて、より具体的な考えや要望をとりまとめ、明らかにしていきたい。

今後の教育改革に関する 基本的考え方 – 日本経済団体連合会

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