とりあげたいところは何ヵ所もあるのですが…
私が一番強く共感を覚えたのは次の部分です。
人は、何のために働くのだろう
人が生きるのはお金や会社のためではない。自分が「これだ!」と思う生きる目的を見つけるため、そしてその目的をかなえるために生きていると私は思うのだ。
坪内さんは、二つのことをおっしゃっています。
一つ。生きる目的を見つけるために生きる。
二つ。その目的をかなえるために生きる。
坪内さんが著書でおっしゃりたかったこととは少し視点がずれるかもしれませんが…、
そして、ここで、こういう表現をするとちょっと無粋かもしれないけど…あえて…
坪内さんのおっしゃっていることは、ある種の「キャリア・デザイン」のことだと思いました。
「はぁ?」と思った人も多いかもしれませんが、大いに関係がある。
私にはそう思えたのです。なぜなら…
坪内さんは「目的」と「思い」に強いこだわりを持っていらっしゃるように感じました。
「まえがき」の5ページに次のようにあります。
島の未来のために、日本の水産業のために、地方創生のために、どんな困難があっても立ち向かってみせる。その純粋な思いが私と漁師たちを一つにしている。
純粋な思いがあるから、…ために、…ために、…ために、どんな困難にも立ち向かい、…一つにしている。
(坪内さんの「目的」と「純粋な思い」はどのようにして強固に形成されていったのか。
ここは次回以降、改めて考察してみたいと思います。)
さて、坪内さんは「地方創生」も目的の視野に入れています。
地方創生は、坪内さん一人、一船団丸で成し遂げられる事業ではないですね。
坪内さんと同じようなプライドを持って、どんな困難があっても立ち向かう…
そういう人材を地域で育成していかなければいけないでしょう。
ここからは私の妄想ですが、坪内さんは、そのうちご自身の経験を資源として人材育成コンサルをも手掛けられるようになるんじゃないかと思います。(もう既にそうなのかもしれません、この本自体がそういう機能を果たすようにも思います。)
その意味で、今…、
小中高、そして大学では、真剣にキャリア教育に取り組んでいます。
大学や高校のインターンシップもいわばその一形態。
中学生の職場体験学習もそう。
大人のビジネスの世界でもキャリア開発は重要な課題になっています。
なぜ今、キャリア開発なのか。それは何を意味しているのか。
大きな社会的変化があるなか、社会や企業が予定調和的な中長期のキャリア形成の主体となることが事実上できなくなってきているからです。
ちょっと突き放した言い方をすれば、先の読めない変化の中で適応していくためには…
つまり、自分の人生は自分で切り開くしかない。
自分の人生は与えられるものではなく、自ら切り開いていくものだ。
だから、何のために(どのような目的で)、働くのか(生きるのか)。
ここが大事になる。そういうことなのですね。
坪内さんのすごいところはキャリア教育云々などというものはすっ飛ばして、全部自分自身でやってしまった。
「ド素人だった24歳の専業主婦が 業界に革命を起こした」
そして、目的と手段をしっかり定義し直すことをやった。
魚を獲るのは手段。目的は顧客満足。
従来、漁師は魚を水揚げすることを目的にしていたと思います。
これからはそうじゃない。
坪内さんは、そこに切り込んだということなのですね。
これまでの「目的」は実は「手段」であったということに気付き、共有することにまず困難なプロセスがあった。
目的をもっと遠くに置く。顧客満足に置くことにした。
目的の変更は、その達成の手段(流通経路)の変更を伴うことにもなった。
したがって従来の慣行破りのチャレンジも必要になった。ここでも従来の仕組みとの衝突。
今後、乗り越えていかなければならない課題の一つは、ICT、AI、IOT、ビッグデータの活用などのテクノロジーをどのように取り込んでいくか。ここも必須ですね。
まだ、ザーッと読んだ段階での感想です。
明日、もう一度、今度は坪内さんに感情移入しながらじっくりと読んでみます。