208)地域の生き残り 鬼北町のチャレンジは先行事例になるのかもしれない あるいはリーダーの存在が大きいのかもしれない

7月16日の愛媛新聞の記事です。
今後の南予・宇和島圏域のことを考えたときに非常に興味深い内容になっています。
そしてそれを鬼北町がリードしているのかもしれません。その背景等について考えてみます。
まずは記事をご覧ください。
鬼北町の先進事例学ぶ 記事
次のような内容があります。

小中学校の運営に地域住民が直接参加する「コミュニティスクール」への理解を深めようと、新居浜市教育委員会は14日、市内の教員や住民向けの研修会を開いた。制度の要となる学校運営協議会の仕組みや課題について約90人が学んだ。

2013年に県内初の学校運営協議会設置校となった鬼北町の日吉小学校と日吉中学校で、当時導入に関わった宇和島市吉田中学校の西村久仁夫校長が講演した。「協議会の目的を明確にし、具体的な権限を持たせるなど運営を工夫すれば、教員や地域の負担は軽減できる」と強調した。

「コミュニティスクール」が一つのキーワード
その内容も一つのポイント
ひょっとしたら先駆的リーダー(現吉田中の西村久仁夫校長)の存在も大きいのかもしれません。四国地方では次の4人の先生があげられています。
文科省のホームページ コミュニティ・スクール推進員(CSマイスター)

そして、なぜ、鬼北町がトップランナーなのかについても考えてみたいと思います。

はじめに、日吉中学校のホームページから、日吉中のグランドデザインを見てみます。これです。

日吉中のグランドデザイン

教育目標は「豊かな人間性を育み、郷土に誇りをもつ生徒の育成
注目したい箇所はいくつもありますが、下段に「3つの教育制度が一体となって取り組む教育の質の保証・向上」とあります。

義務教育9年間を通した特設領域「郷土学」の実施
学校・家庭・地域が一体となって取り組む教育の実現
地域ぐるみで子どもを育てる体制の構築

どういうことなのでしょうか?
私は鬼北町に直接質問したわけでもありませんし、西村先生にお話しをうかがったわけでもありません。ですので以下は私の個人的な推測です。

日吉中の生徒数の推移を見てみます。これです。

生徒数の推移 日吉中学

一言で言えば、時間をかけて半数近くまで減少しています。
そしてこの傾向が増加に転じる気配はありません。
鬼北町全体の人口の年齢構成の現在と将来予測を見てみます。
(データはリーサスの人口マップから鬼北町の人口ピラミッドを作成したものです。)

人口ピラミッド

2030年はそう遠い将来ではありません。わずか15年後です。
高齢者(老年人口)、働き盛り(生産年齢人口)、将来の担い手(年少人口)の数と割合の変化の予想にご注目ください。

鬼北町の危機感。鬼北町のチャレンジ。鬼北町の本気度。
今のままではまずい、何かを変えなければいけない。ガチでやるしかない。
このあたりが見えてきますね。

そのテーマの一つが地域の次代を担う人材の育成ということなのだと思います。

シンプルに言えば、
「何のための教育か」
「誰のための教育か」
「誰による教育か」
「どのような教育か」

そこに切り込んでいるように見えます。

そして、愛媛新聞の記事は、今治市の教育委員会が鬼北町の先進事例に学ぶために研修会を開いたということ、当時「コミュニティスクール」の導入に関わった宇和島市吉田中学校の西村久仁夫校長が講演したということ、そのことを報じているのだと思います。

切り口はガラッとかわりますが、こちらは7月20日の愛媛新聞の記事です。
ポイントはここです(実は上の部分と本質は重なります)。
「生徒が求める大学入試センター試験に必要な授業と、ALTができる(コミュニケーションを主体とした)教育にはギャップがある」
ALT 情報共有
背景にあるのはいわゆる「2020年問題」です。
教育は今、大きく変わろうとしています。それが地域の発展と持続可能性に大きな影響を与えることは間違いないと思います。
理由は、それがなんであれ実行するのは人であり、未来は若い人が形づくるものであること。そしてその若い人をどのように育てるかは今の大人の実行にかかっているからです。

「2020年問題」については、こちらをご覧ください。

【これからの時代に必要な力】2020年からの新制度で、大学入試はどう変わる?
現在の小学6年生が対象となる2020年から、大学入試の仕組みが大きく変化します。大学入試センター試験に替わる新制度下で、入試はどのように変わるのでしょうか。ベネッセ教育総合研究所 初等中等教育研究室の木村治生室長が、解説します。

地域の発展や持続可能性と教育の問題。地域の連携の問題。
こうしたテーマについては今後も考えていきます。

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