昨年(2015年)の12月5日から愛媛新聞の「伊予弁」のコーナー土曜の筆者の一人として、宇和島水産高校の鈴木先生の記事が連載されています。
鈴木先生の、大げさに言えばその生き様とでもいいましょうか、実践のお姿には私自身も大きな影響を受けました。
今回は、その第1回(12月5日)の記事の紹介です。
本当は、連載のラインナップを一挙に並べてご紹介しようと思ったのですが、毎回の記事の内容が濃すぎて…。要約することすら難しいです。それぐらい内容のある記述が濃縮されています。そういうことで分けてご紹介します。
まずは記事をご覧ください。
今回紹介する記事のタイトルは、❝私に力をくれた缶詰「ぶりだいこん」❞です。
水産高の「ぶりだいこん」。超有名ですよね。美味しいです。
水産高の缶詰「ぶりだいこん」には、私も特別な、一生忘れることのない思い出、思い入れがあります。今は叶いませんが、いつの日かここでそれを紹介できる日がくればいいなと思います。(それは前回(167)で扱った「人と人との関係性(関係価値)」とか、ファンになってしまう心理(こだわりのない❝消費者❞ではなく、こだわりのある❝顧客❞を生み出すプロセスとでもいうべき心理)とも大いに関係のあることです…。)
「すぐに辞めてもいいや」「最初の夏休みは年休を使ってほとんど学校に行かなかった」
典型的なやる気のなさそうな先生の姿・もろ出しです。(鈴木先生。話の流れですでのでお許しを(^^))
それが…
「今は、夏休みも土日も学校に行かない日はほぼなく」「楽しさと充実感に満たされている。」
鈴木先生にどのような変化があったのでしょうか?
そして何がそのような変化をもたらしたのでしょうか?
鈴木先生は後半で「使命」という言葉を使われています。
「使命(mission)」とは、命を使うと書きます。それは人生の時間という「量」の問題であったり、人生の甲斐という「質」の問題であったりするのかもしれません。
いずれにしても、何かが鈴木先生に大きな変化をもたらしたのだと思います。
鈴木先生はそのことについて、直接には語っておられません。
ですが、それは「地域からの応援」「生徒の輝き」そのことへの「気付き」と関係があることは間違いなさそうですし、「地域の産業」との関わりとも関係がありそうです。
自らの貢献、他者の反応や無形の報酬。大きなものへの帰属。
やるべきこと、やりたいこと、できること。
この辺りのことについては、また機会を改めて取り上げます。
話を戻します。
変化のきっかけはなんだったのでしょうか?
「そのきっかけをつくってくれたのが、本校の実習製品『ぶりだいこん缶詰』だった。」
「ブリが安いけん付加価値をつけて製品化したい」
「試行錯誤を重ね、地域の方々の支援によって世に出たこの製品、おかげで今や入手困難なスター商品へと成長した。」
「知名度が上がるにつれて、地域からの応援はさらに増え、生徒の顔は以前よりも輝きを増したように思う。」
「専門高校の教員としての使命と、その地に根ざした水産教育を展開することの素晴らしさんい気付かされた。」
「『ぶりだいこん』は起爆剤。」
「生徒と地域の方々は力の源泉なのである。」
ここからは私の勝手な解釈なのですが(それがこの一連の記事を紹介したいと思っている理由なのですが…)
相互作用(相乗効果(シナジー)と言ってもいいのかもしれません。)
鈴木先生は後の記事でそのことをおっしゃっています。
ご自身、生徒さん、地域の方々。
「それぞれが、それぞれに、ほそぼそと、ばらばらに」
ということではなく、お互いが関わりながら、その上でそれぞれの役割を果たしていくことによって、それぞれが互いに「力の源泉」になっていく。そういうことをご自身の経験を振り返っておっしゃっているのだと思います。
地域の大人、地域の次世代を担う若者が、世代を越えて関わり相互に影響し合っていくことで、お互いが変わっていきその結果、地域に活力が生まれる。それが地域における教育の持つ意味である。
鈴木先生は連載記事を通して、そのことを私たちに伝えようとされている。そのように感じました。
教育の意義は、最終的には主体的な行動変容です。
次回以降に続きます。