254)「あこやひめ」オープン 地域のひと、もの、ことが交わる場所  「地域交流拠点」 それは志を重ねる場所にもなっていくのかもしれない

251)宇和島”あこやひめ” 11月1日オープン‼の続報です。

ひと、もの、こと。地域資源。
志、繋がり、物語。価値。
結果として、それはそれを軸にしたマーケティング、ブランディングにもなっている。
そして持続可能な地域の活性化。
以下、今回はそういう視点で見ていきます。

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地域、苦境、苦労、郷土愛、志、使命、決意、絆、行動、継承…。
さまざまなことに気付かされます。
そこにはある種の感動を伴った「物語(ストーリー)」が存在していると思うのです。
そのことが、その物語ゆえのこれもまたある種の「価値」を生んでいるように感じるのです。

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11月1日の愛媛新聞の記事。記者は石田一真さんです。
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真珠や海産物の加工品を販売するため「あこやひめ」が1日、宇和島市津島町高田に食堂や加工工場を併設した6次産業化施設をオープンする。真珠を核とした地域交流拠点を目指す。

あこやひめは市内の下灘漁協女性部が2007年に企業組合として設立。15年7月、株式会社に移行した。同市津島町嵐の加工場が老朽化したため今年4月下旬、新施設建設に着手した。

このことに関して、「あこやひめ」の社長・武部月美さんの娘さん武部寛子さんがFacebookで次のような記事を投稿されています。本当にいろんなことに気付かされます。
以下、全文を引用します。(武部寛子さんにはご了解いただいています。太字の施しは私によるものです。)

本日 平成28年11月1日愛媛県宇和島市津島町に
母たちの新店舗となる
「あこやひめ」がいよいよオープンします
地域のひと、もの、ことが交わる場所であること
「地域交流拠点」を目指し
そして生まれ育ったまちに多くの方に足を運んでいただけるよう長らく準備をしてきました
母たちの活動資料を整理していると
私が帰郷して間もない頃に母たちが講演した資料が出てきました
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真珠の輝きは絆の輝き! 企業組合で掴んだ夢
企業組合あこやひめより抜粋
私たちの住む宇和島市は、豊後水道の「宇和海」に面し、愛媛県の西南部に位置しています。自然風土を生かした農業や水産業が基幹産業で、農業は温暖な気候のもと、温州みかんなどのかんきつ類の栽培に取り組んでいます。水産業においては沿岸漁業や漁船漁業、海面養殖漁業が盛んです。
しかし、全国有数の漁業生産量を誇る宇和島地域も、近年、養殖漁業は長引く景気の低迷の大きな打撃を受けていまして、さらに追い打ちをかけるような自然環境の悪化、地球温暖化による水温の上昇や赤潮の発生などにより、精魂込めて育てた魚やアコヤ貝が大量へい死するという大変な事態に見舞われてきました。
中でも、平成8年のアコヤ貝大量へい死以後、更なる経済環境の悪化も加わって、真珠養殖業を廃業する者も増え続けています。このままでは漁業を健全な状態で、子どもたちに継いでゆくことができないと不安も高まるばかりでした。
漁業協同組合がアコヤ貝の品質改良や経営の立て直しに取り組む中、女性部の中で「女性にできること、女性だからできること」を宇和海全体で考えようと意見がまとまりました。
漁協女性部は、発足以来、合成洗剤を追放し、せっけん洗剤の推進に取り組んできましたが、再度、生活の糧である大切な海をみんなで守ろうと環境保全の研修を行い、 瀬戸内海で環境浄化に活躍している有機微生物群を使用したEM石けんの普及活動に努め、成果を収めることができました。
そして、環境浄化や環境保全はもとより、食の安心・安全を考える中で、「特産物を活かした食品や真珠の加工製品」を作り販売したいとの強い想いに至り
地域の枠を超え、有志が集まり、「あこやひめ」が結成されたのです。
(以下略)
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そこに写るあこやひめの最初のお弁当販売の建物は
わずか数畳の小さな小屋
完成した建物からは到底想像もつきません
「あこやひめ」として仲間と苦楽をともにしながら
活動を続けてきた結果なのだと改めて感じました
昨年7月には将来的に継続した活動を続けること
雇用環境の安定を目指し企業組合あこやひめが株式会社となりました
またその事業においても地域の魅力を最大限生かすべく
地域食材の水分量を調整することで
食材の持つ「うまみ」を高め2次加工3次加工への可能性を開く
「ソフトドライ」加工もスタートさせ
ますます今後の活動が楽しみです
本当にこのまちの母ちゃんたちは素晴らしい!
しかも本日のオープンには利用者先着50名に
宇和島産あこや本真珠の小物がプレゼントされるとのこと
太っ腹♩笑
場所は津島やすらぎの里から車で30秒また徒歩3分
母の生まれた津島町高田です
南楽園で観光して 、岩松川でなっそを飲んで(車の方は生甘酒で)
やすらぎの里でお風呂に入ったついでに
あこやひめにも是非遊びに来てください
他にも津島には楽しめるところがたくさんありますよ
【あこやひめ GRAND OPEN】〈カフェ食堂〉
ふるさとの魚介や野菜の魅力あふれる
あこやひめのオリジナルランチ
ご友人との楽しい時間から
お子様連れのご家族にも利用いただけるよう
オープン席・洋室・和室を設けました
また施設はバリアフリーです
〈弁当 仕出 地域産品加工品〉
真珠を育てるあこや貝の貝柱でつくる
あこやひめパールコロッケをはじめ
ふるさとの食材を活かした加工事業
また お弁当 仕出を承っております
〈宇和島産あこや本真珠〉
ひとりでも多くのかたのそばで
宇和島産あこや本真珠を輝かせたいとの想いから
生産者である自らが加工から販売まで手がけ
高品質かつ低価格化を実現しました
我が子を見守るように
大切に育てているあこや本真珠の輝きを
皆様にお届けすることが私たちの使命です
また真珠をより身近に感じていただけるよう
店舗にてアクセサリーの製作体験を
行っています(要予約)
愛媛県宇和島市津島町高田2115-1
宇和島道路 津島高田インター下車 国道56線方向 約1分
津島やすらぎの里から徒歩3分
TEL0895-25-2502(TEL49-5665※12月1日以降)
-営業時間- 7:00-18:00(ランチ11:00-15:00)
-定 休 日- 木曜日
真珠部門 宇和島産あこや本真珠の加工販売
リフォーム・アクセサリー製作体験
食品部門 カフェ食堂の運営・弁当・仕出
地域食材の加工

「あこやひめ」のこのお弁当を見てください。

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□新生「あこやひめ」誕生までの「物語」を知らずして見るこのお弁当。

○新生「あこやひめ」誕生までの「物語」を知ってしまった後に見るこのお弁当。

□このお弁当の背景にある物語を知らなければ、それはちょっと豪華な、でも、見た目はある意味どこにでもある、ただの普通のお弁当です。(普通じゃなくてすごく美味しいと思います。ここは話の流れということですのでご容赦ください。)

○武部さんと武部さんを囲む方々の、ここまでに至る想いと行動、その志ある「物語」を知ってしまった人にとっては、おそらく特別の意味を持った、そのような価値のある、ここにしかないお弁当、そういうことになるのではないでしょうか。

もの(お弁当など)・こと(物語)・ひと(ほかでもないあの人)。
これが掛け合わされると、特別の意味、特別の価値が生まれてくる。
そういうことなのだと思うのです。

□ただの普通のお弁当を買って食べる人は「消費者」にすぎないですね。

○その人にとっての特別の価値を持ったお弁当を買って食べる人は「顧客」です(ファンと言ってもいいかもしれません)。

経営の神様ともいわれる、あのピーター・F・ドラッカーは言っています。
事業の目的の定義は一つしかない。「顧客の創造」である…。

そして、もう一つ気付かされたことがあります。

251)の記事でもご紹介したとおり、「あこやひめ」の社長・武部月美さんはこのようにもおっしゃっていました。

当初からの願いである、次の若い世代の育成も図っていきたいです

武部さんは、苦境のなかから地域を憂い、志を立て、仲間と協力して、事業を起こし、企業組合を立ち上げ、株式会社に移行して…、そういう道程をつくってこられました。

この道程と過程で培われたノウハウ。
これがそのまま地域の担い手の人材育成のコンテンツであり、行動のモデルになっているように思います。
地域活性化のために次世代に伝承すべき、知識・技術・マインド。それです。

ものすごいヒントがここにもありそうですね。
世の中の親が、子どもの教育には惜しみない投資(出費)をしているわけです。
人材育成(教育)は産業になりうる。…っていうか既になっている。
宇和島にはその土壌(風土)が既にある。
これはチャンスと見るしかないように感じます。

20年後の宇和島を牛耳っているのは今の40代、宇和島を底支えしていくのは30代、20代ですね。そして10代がそれに続く。
「いつやる?」「今でしょ!」
あこやひめは将来の担い手の育成も含めて今始めた。そういうことなのかなとも感じました。

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