159)このまちが大好きだから ― 2016年度 宇和島青年会議所スローガン ―

今回は、宇和島青年会議所(JC)を取り上げてみます。

前回(158)の記事の終わりの方で次のように記述しました。

今、地域を仕切って方向づけているのは、地域の50代、60代(もしかしたら70代も)の大人たちです。これから10年、20年の時間をかけて宇和島は確実に変化していきます。その変化の内容は人口減少・少子高齢化の進展です。
10年後、20年後に、地域をリードしているのは現在の30代、40代でしょう。そしてもしその時、宇和島が活性化しているとしたらその原動力は現在の10代、20代のはずです。
したがって、10年後、20年後の宇和島がどうなっているかは、今、大人たちが若者にどのような働きかけをするのかということに、大きく左右されると思います。
何を伝えたらいいでしょうか? 現状、伝える仕組みや取り組みはあるでしょうか?

次回以降、このあたりも考えていきます。

青年会議所のメンバーは、30代の地域の若きリーダーとリーダー候補が中心なんだろうと思います。
今回、青年会議所を取り上げたのは、この方々が10年後、20年後に宇和島を牽引する中心的存在になる人たちであろうと思うからです。

理事長所信

現理事長の二宮正行さんが宇和島青年会議所のホームページに「理事長所信」を表明していらっしゃいます。その一部をピックアップしてみます。

2016年度の宇和島JCスローガンは「このまちが大好きだから」

あなたは、なぜ宇和島に住んでいるのですか
情報・交通のスピードアップと引き替えに中央に集まるヒトやモノやカネ。かつては独立した産業や生活があった多くの山村・漁村、そしてその中心にあった地方都市がその機能を失いかけています。もちろん宇和島もその例外ではありません。
ふるさとの魅力を見失い便利さを求めて都会に出た子供たちが多く居る一方、私たちのように、故郷に住む若者が居ることもまた事実です。「故郷にとどまった若者」「故郷に戻ってきた若者」にその理由を尋ねることが、町の元気を取り戻すきっかけになるのではないでしょうか。

あなたは、なぜ宇和島に住んでいるのですか。
これまでに、進学や就職で、都会に出る機会もあったでしょう。あるいは、実際に宇和島を離れ、遠い町で生活をしていた人も居るでしょう。私たちは、故郷を離れているときも宇和島のニュースに耳を傾け、同郷の友人と交流を続けてきました。そして今、誰かに言われたわけではなく、ごく自然に、故郷で日々の生活を送っているのです。親の会社を継ぐため、地元の就職が見つかったため、都会での生活が合わなかったためなど、様々な理由があるでしょう。ただ共通するのは、みなさんが、この町を愛する心「愛郷心」を持ち続けていたということです。
故郷を愛する仲間を増やしていきましょう。そうすることで、人々が笑顔になり、まちを元気にすることができます。

~(中略)~

2年前の「宇和島青年会議所60周年記念式典」にて、多くの先輩方と膝をつき合わせて語り合った事は記憶に新しいと思います。この、近くで見守ってくれている先輩方に感謝し、そして、私たちらしい1ページを作り、次の世代にこの宇和島青年会議所を引き継いでいきましょう。

~(中略)~

むすびに
委員会はうまくいっていますか。例会は学びにつながっていますか。活動を通して、多くのメンバーと交流していますか。青年会議所は楽しいですか。この宇和島青年会議所のすばらしい仲間達との偶然の出会いに感謝しながら、まずは、私たちが「楽しいこと」をしていきましょう。そして、その「楽しいこと」を、家族に、友人に、まちの人たちに伝えていきましょう。私たちの笑顔は、ふるさと宇和島の笑顔につながっていくはずです。
なぜなら、私たちはみんな、このまちが大好きなのだから。

詳しくはこちらをご覧ください。
理事長所信 このまちが大好きだから

こうして理事長所信を見ていくと、中には情緒的で具体性に欠けると感じる方もいらっしゃるかもしれません。私も情緒にアプローチされているのだなと感じますが、違和感はありません。むしろ大いに共感を覚えます。

こんな風に考えることができるかもしれません。
理屈ではわかっているけれども行動にうつれない。そういうことはあると思います。
一方、理屈的には必ずしも合理的とは言えない。でもそうせずにはいられない。
そういうことも、誰にでもあることではないでしょうか。

これからの宇和島が厳しい状況を迎えることは否定できません。
厳しさに起因するリスクや負担を避けることが合理的かつ効率的な考え方なのかもしれません。でも、そうしたいのでしょうか?

どうすればいいかを知っている(知識)、実際にそれをできる(技術)、そもそもそうしたいと思っている(動機)。

何かを実行し結果を出すには、知識と技術が要る。
そして何よりも動機が要る。
別の言い方をすると「志」が大事だと述べていらっしゃるのだと思います。

「なぜ宇和島なのか」その理由を尋ねることが元気を取り戻すきっかけになる。
共通するのは「愛郷心」を持ち続けていたということ。
故郷を愛する仲間を増やしていこう。そうすることでまちを元気にすることができる。
先輩に感謝し、次世代に引き継いでいこう。
先人から引き継いだ「志」を知識と技術とともに、次世代に伝えていこう。
なぜなら、私たちはみんな、このまちが大好きなのだから。

次回以降、機会を改めて、次のようなことも考えていきます。
地域からどれぐらいの若者が出ていってしまっているのか。
どれぐらいの若者が戻ってくるのか。
(出ていく数に比べて圧倒的に少ない数しか戻ってこない状況が長らく続いています。)
なぜ出ていくのか。なぜもどってこないのか。その原因、背景はどこにあるのか。
その状況を変えることができるとしたら、私たちにできることはどのようなことがあるのか。

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