242)【宇和島市】皆さん、一緒に話しましょう!「まちづくり市民ワークショップ」開催

宇和島市のホームページに「まちづくり市民ワークショップ」参加者募集の情報がアップされています。
今回は「宇和島市総合計画」と「宇和島市総合戦略」などについて考えてみます。
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宇和島市のホームページに次のような記述があります。

皆さん、一緒に話しましょう!「まちづくり市民ワークショップ」開催
宇和島市では、将来のまちづくりについて、市民の皆さん自身が考え、話し合う、意見交換会(※ワークショップ)を開催します。
市のまちづくりに意欲がある皆さんの参加をお待ちしています。
※ワークショップとは、さまざまな人が集まり少人数のグループに分かれ、自由に意見を出し合い、お互いの意見を尊重しながら、グループで意見をまとめる場です。

趣 旨
現在、宇和島市では、市の目指すべき将来像を定め、計画的に市政を進めていくための「第2次宇和島市総合計画」(平成30年度~平成39年度)の策定を進めています。
総合計画を策定するにあたり、ワークショップを通して、総合計画やまちづくりについて親近感をもってもらうとともに、普段感じているまちづくりの課題やニーズを抽出し、市民の意見を総合計画に反映させることを目的としています。

日 程
意見交換をより充実したものとしたいため、下記の日程のとおり、ワークショップを3回予定しています。
※すべての日程に参加くださいますようお願いします。
(第1回) 平成28年10月20日(木曜日) 午前9時~12時
(第2回) 平成28年11月16日(水曜日) 午前9時~12時
(第3回) 平成28年12月12日(月曜日) 午前9時~12時
場 所: 宇和島市役所6F 602会議室

テーマ
・10年後の宇和島市について
「伸ばすべきところ」「変えたいところ」「やるべきこと」とは?

募集対象
市内在住の18歳以上の方(高校生除く)で宇和島市の将来に関心と意欲のある方

募集人数
30名

「第2次宇和島市総合計画」(平成30年度~平成39年度)の策定に市民の意見を反映させる。そのために意見交換の場(ワークショップ)を開催する、ということだそうです。

テーマは、
○10年後の宇和島市について
「伸ばすべきところ」「変えたいところ」「やるべきこと」とは?
となっています。

「市の目指すべき将来像を定め、計画的に市政を進めていくための「第2次宇和島市総合計画」」ということですから、市民にとって重要なことでですね。
人口減少と少子高齢化の進展が本格的になる局面においてはなおさらのことだと思います。
(市政のことは行政に任せておけばよいという時代は既に終わっていると感じます。消滅可能性が指摘されている自治体が全国に900近くあり、宇和島市を含む南予地域はのきなみそこに名を連ねています。行政と市民が方向性を共有して一致団結できた自治体が生き残ることができるのではないでしょうか。バラバラの方向性を許容できる余裕は既になくなっていると感じます。)

ところで、宇和島市は人口減少対策及び地方創生を目的として、2016年3月に「宇和島市総合戦略」を策定しています。

「宇和島市総合計画」と「宇和島市総合戦略」は何がどう違うのでしょうか?

そこで、宇和島市の「宇和島市総合計画」「宇和島市総合戦略」とは何かをそれぞれ見ておきたいと思います。
「まちづくり市民ワークショップ」に参加するかどうかは別としても、これからの市民にとって大切だと思うからです。

総合計画と総合戦略の関係については、「宇和島市総合戦略」の「総合戦略の目的と位置付け」の項の中で次のように説明されています。

· 2008 年度を始期とする「第一次宇和島市総合計画(後期基本計画:2013 年度~)」は宇和島市のまちづくりを総合的かつ計画的に推進するための最上位計画であり、宇和島市総合戦略は総合計画に位置付けられる施策のうち、人口減少対策や地方創生を目的とした取り組みを拡充したり、新たな視点を加えたりして、実効性のある、より結果を重視する位置付けとなっています。

「宇和島市総合計画」は宇和島市のまちづくりの「最上位計画」であり、「宇和島市総合戦略」は総合計画の一部(人口減少対策や地方創生を目的とした取り組み)を扱う位置づけということのようですが、少しわかりにくいですね。
(言葉尻にこだわるつもりはありませんが、総合的・中長期的な方向性としての戦略があってそれを当面の具体的行動に落とし込むものが計画、というのが一般的な戦略と計画の関係だと思います。このことも総合計画と総合戦略の関係がわかりにくいことの理由になっているかもしれません。総合計画が先に存在していたといことも一因かもしれませんね。)

ということで、「宇和島市総合計画」と「宇和島市総合戦略」をそれぞれ見てみます。

まず「宇和島市総合計画」から見ていきます。
ホームページでは「市の最上位計画」であることについて、次のように説明されています。

宇和島市総合計画について
宇和島市総合計画は、市が目指すべきまちづくりの指針を示した市の最上位計画です。
総合計画は、基本構想と基本計画で構成しています。
基本構想は、市の特性や市民ニーズの動向、時代変化などを総合的に考え、市が目指す将来像とそれを実現するための政策目標や施策、施策の大綱、重点プログラム等を示したものです。
基本計画は、基本構想に基づき、今後推進する施策の内容や主要事業等を各分野にわたって体系的に示したものです。

そして、別のページで総合計画の法的な根拠が記述されています。

1 総合計画の役割
地方自治法第2条第4項に基づく市の最上位計画として位置づけられ、合併時に策定した「新市建設計画」を基本に、まちづくりの方向を示すもので、次のような役割を持ちます。

宇和島市民みんなの力を結集するための「市民参画・協働の総合指針」
自立した宇和島市を創造・経営していくための「地域経営の総合指針」
国・愛媛県・周辺自治体、そして全国に向けた「わがまち宇和島市の主張」

「地方自治法第2条第4項に基づく市の最上位計画として位置づけられ」とあります。
ここがちょっとわかりにくいのです。

かつて「地方自治法第2条第4項」には次の規定がありました。
市町村は、その事務を処理するに当たつては、議会の議決を経てその地域における総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想を定め、これに即して行なうようにしなければならない。」

これが宇和島市のホームページにある総合計画の役割についての記述「地方自治法第2条第4項に基づく市の最上位計画として位置づけられ」の根拠になっているように思うのですが…。

地方分権改革の流れの中で平成23年に地方自治法が改正されています。
地方公共団体に対する義務付けがいくつか撤廃されているのですが、「第2条第4項の市町村基本構想の策定義務」の規定もなくなっています(条文が削除されています)。

そうなると総合計画を策定する理由は、法律による義務付けではなく、自治体の主体的な意思ということになります。(少なくともホームページの記述は訂正する必要がありそうに思えます。)

こんな記事もあります(あくまで参考です。)

地方公共団体の最上位計画としての総合計画の改革
-政策の高度化と経営資源の全体最適化に資する経営基盤の確立のために-

2011年地方自治法改正による市町村基本構想の策定義務が無くなった後も、ほとんどの地方公共団体では、総合計画や長期振興計画等の名称で基本構想を含む最上位の行政計画(以下、総合計画)を策定し、総合的に施策・主要事業を推進していることは、一般的にはほとんど知られていない。総合計画は、一般的に4~5年を計画期間とする基本計画が中心で、民間企業の中期経営計画に該当する非常に重要な行政計画である。 一方、大都市圏や一部の地域を除き、地域の社会経済状況は人口減少や地域経済の疲弊など、長期悪化に歯止めがかからず一層深刻化している。 本稿では、多くの総合計画が、社会経済状況の悪化など地域が抱える問題・課題の解決に有効な計画となっていない問題を取り上げ、改革の方向性を考察する。

http://www.fujitsu.com/jp/group/fri/column/opinion/201607/2016-7-3.html

一方、「宇和島市総合戦略」の方はどうでしょう。
「宇和島市総合戦略」は、第1編の「人口ビジョン」と第2編の「総合戦略」からなっています。 それぞれの「目的と位置づけ」「計画期間」を拾ってみます。
総合戦略の方は「基本目標と基本的方向」も貼りつけておきます。

宇和島市総合戦略(2016年3月)

第1編:人口ビジョン
1.人口ビジョンの目的と位置付け・計画期間
1.1 人口ビジョンの目的と位置付け
· 宇和島市人口ビジョンは、地方公共団体における人口の現状と住民の認識を分析し、人口に関する地域課題や人口減少に対する危機感についての認識を住民と共有し、今後目指すべき将来の方向と人口の将来展望を提示するものです。
· 宇和島市人口ビジョンは、一体的に策定する宇和島市総合戦略において、まち・ひと・しごと創生の実現に向けて効果的な施策を企画立案する上で重要な基礎と位置付けられます。このことから、人口ビジョンの策定に当たっては、国の「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン(以下、長期ビジョン)及び総合戦略(以下、総合戦略)」を勘案することとします。

1.2 計画期間
· 人口ビジョンの計画対象期間は、2060 年とします。

第2編:総合戦略
1.目的と位置付け、計画期間
1.1 総合戦略の目的と位置付け
· 宇和島市総合戦略は、国が「まち・ひと・しごと創生法」に基づき策定した「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の基本的な考え方や政策 5 原則※を基に、本市における、人口減少と地域経済縮小の克服、まち・ひと・しごとの創生と好循環の確立を目指し策定するものです。
· 「宇和島市人口ビジョン」において、人口の将来展望として掲げた目指すべき将来の方向性に基づき、2060 年度の人口目標値を社人研の推計値である 3.5 万人から 1.9万人(約 54%)増の 5.4 万人に設定し、今後 5 年間の目標や施策の基本的方向、具体的な施策をまとめます。
· 2008 年度を始期とする「第一次宇和島市総合計画(後期基本計画:2013 年度~)」は宇和島市のまちづくりを総合的かつ計画的に推進するための最上位計画であり、宇和島市総合戦略は総合計画に位置付けられる施策のうち、人口減少対策や地方創生を目的とした取り組みを拡充したり、新たな視点を加えたりして、実効性のある、より結果を重視する位置付けとなっています。
· 国の地方創生の取り組みや支援により戦略的・政策的・集中的に取り組むものであり、宇和島市総合戦略の目的を達成するには住民の理解と協力が必要不可欠です。

政策5原則
(1) 自立性(自立を支援する施策)
各施策が一過性の対症療法にとどまらず、構造的な問題に対処し、地方公共団体・民間事業者・個人等の自立につながるようなものにする。また、この観点から、特に地域内外の有用な人材の積極的な確保・育成を急ぐ。
(2) 将来性(夢を持つ前向きな施策)
地方が自主的かつ主体的に、夢を持って前向きに取り組むことを支援する施策に重点を置く。活力ある地域産業の維持・創出、中山間地域等において地域の絆の中で心豊かに生活できる環境を実現する仕組み等も含まれる。
(3) 地域性(地域の実情等を踏まえた施策)
国による画一的手法や「縦割り」的な支援ではなく、各地域の実態に合った施策を支援することとする。
(4) 直接性(直接の支援効果のある施策)
限られた財源や時間の中で、最大限の成果を上げるため、ひとの移転・しごとの創出やまちづくりを直接的に支援する施策を集中的に実施する。
(5) 結果重視(結果を追求する施策)
効果検証の仕組みを伴わないバラマキ型の施策は採用せず、明確な PDCA※メカニズムの下に、短期・中期の具体的な数値目標を設定し、政策効果を客観的な指標により検証し、必要な改善等を行う。

1.2 計画期間
· 総合戦略の計画対象期間は、2015 年度から 2019 年度までの 5 年間とします。

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宇和島の現状と今後の課題は何か?
○10年後の宇和島市について
「伸ばすべきところ」「変えたいところ」「やるべきこと」とは?何か?
そのための「総合計画」や「総合戦略」をどうするか?
それらの関係をどう位置づけるか?
行政と市民の本気の対話が望まれているように感じます。

「まちづくり市民ワークショップ」が素晴らしい取り組みになるといいですね。

今回は表面の部分だけを取り上げました。
機会を改めて個別の内容についても考えていきたいと思います。

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