333)地域を担う人材育成を 宇和島の睦育英会 吉田中に40万円助成

5月26日の愛媛新聞の記事が大切なことを報じています。
記者は山内拓郎さん。
山内さんは、いつも素晴らしい視点での記事を書いてくださっている記者さんの一人ですね。
ありがとうございます!

今回、取り上げてみたいことは、次の2つの視点からです。
一つ。睦育英会(二宮洋理事長)とはどういう団体かということ(後半でご紹介します)
二つ。なぜ吉田中学校なのかということ
そして、なぜ吉田中学校なのかということについては、更に2つのポイントがあります。
① 校長先生が西村久仁さんだということ
② コミュニティスクール、地域とともにある学校。これがキーワードです。
ここ。今後の南予・宇和島にとって大きな意味があります。
以下、詳しく見ていきます。

まずは記事をご覧ください。

山内記者の記事にはこうあります。

地域の子どもたちの成長を支援しようと、公益財団法人睦育英会はこのほど、住民らも学校運営に参加する取り組みをしている吉田中学校(西村久仁校長)に助成金40万円を寄贈した。
同校は今後、地域を担う人材育成事業などに活用していく方針。

そして、二宮理事長の贈呈式でのあいさつ、それに対する西村校長の感謝のことばは次のとおりだと報じています。

「地域とともにつくる学校教育の実現に活用してほしい」
「地域一体で学校運営に取り組んでいるところで、非常にありがたい。」

ここなんですね。
実は、ものすごく大きな意味があります。
「地域とともにつくる学校教育」とか、「地域一体で学校運営」とかという言い方でそれぞれ述べられていますが、ここに深い意味があるのですね。

その背景にあるのは、おそらく間違いなく、
「地域とともにある学校」
そして
「コミュニティスクール」
だと思います。

吉田中学校の西村校長に視点をあてたいと考えたのはこういうことです。
愛媛県でコミュニティスクールを導入しているのは、今のところ鬼北町だけですが、それにチャレンジした方が西村さんです。
そして、その西村さんが今、宇和島の吉田中学校の校長としてそれに取り組んでいらっしゃる。

吉田中学校のホームページに、あるコーナーがあります。
特に下段に目指すべきものとしてどのようなことが描かれているのか注目していただきたいと思います。(学校や校長先生の一存だけでは実現できないことです)
吉田中学校のグランドデザイン

こちらの記事もご覧ください。

208)地域の生き残り 鬼北町のチャレンジは先行事例になるのかもしれない あるいはリーダーの存在が大きいのかもしれない

196)愛媛県では 鬼北町だけが実践している。「コミュニティー・スクール」とは何か?

こうした取り組みは思い付きではなくて、国の施策にも沿っているということなのですね。

政府のやろうとすることに、あれこれ批判をする方もいろいろといらっしゃいますが、その分野のそれなりの方がその見識に基づいて出した結論です。
やった上での批判ならまだしも、やってもいない、対案もない、ただ従来と違う行動が要求される、それが大きな理由なんだとしたらそれはいわゆる「抵抗」でしかありません。

「地域とともにある学校」については、こちらをご覧ください。文科省のサイトです。
コミュニティ・スクールは、「地域とともにある学校づくり」を進めるための有効なツールです。

こちらの記事も参考にされてください。

高齢化などによる影響で、地域の力が失われつつあると同時に、少子化による学校統廃合なども、大きな問題となっています。これに対応するため、文部科学省は、地域と学校の連携・協働を推進するための事例集を作成しました。同省が打ち出した「地域とともにある学校」の狙いとは、一体何でしょうか。
「地域とともにある学校」って何? 文科省が事例集作成

人は人との関わりの中で生き、子どもたちはそこで明るくたくましく育っていく。
「昔に戻れ」という意味ではないが、いつの時代もみんなで支え合い、助け合って生きていく社会が必要ではないか。――そんな思いを胸に公立小・中学校の教育改革に取り組む貝ノ瀬滋氏は、「地域に開かれた学校」から一歩踏み出し、「地域とともにある学校」をつくってきた。学校と地域住民、家庭が力を合わせて運営する公教育の場は、東京都三鷹市において、日本のコミュニティ・スクールの先駆けとなった。
いま注目の「コミュニティ・スクール」とは? ――地域とともにある学校が、「少子化・日本」の明日を元気にする

最後になりましたが、睦育英会について取り上げたいと思います。
私自身は睦育英会や関係者の方と直接お会いしたことはありません。
情報源は全てインターネットです。

地域の担い手を育成する。
そのことについて

設立の動機について初代理事長の二宮 芳太郎さん(故人) (昭和52年8月8日~昭和61年6月16日)はこうおっしゃっていいます(一部を抜粋します)

 今日でも向学心がありながら、私と同じようにいろいろの都合で、進学あるいは研修などに困難を感じている若い人がいることも事実で、その芽を摘み取らず何とか大きく育てることが必要です。
一私人の身では、でき得ることはおのずから限りがあります。それは承知の上で、私は金額の多寡ではない、とにかくそのような若い人を、たとえ幾らかでも援助したいものだと思いました。

常に目前の自分の仕事に最高を追い求め、努力を積み重ねて行く、こうした努力はすぐに報いられることはあまりないのですが、積み重ねて行くことにより、長い目で見ればその結果は必ず輝いてくるものなのです。
明日を信じ、将来に夢を託して・・・それが若者の権利なのですが・・・ひとつ大いにやって下さい。

現在の(第4代)理事長 二宮 洋さん(平成26年4月1日~ )は、
「理事長あいさつ 睦育英会によせて」
の中で次のようにおっしゃっています。

 このような世の中で、睦育英会の行う、奨学制度、海外研修は未だに大きな価値を持っていると再認識致します。慣れ親しんだ宇和島の土地を離れて、見知らぬ土地で勉学に勤しみ、異なる文化、そして国内にせよ国外にせよ、その異文化の中で育った人々に触れ、お互いに理解し合おうとする若者たちを育てる、この意味は40年前と全く変わっておりません。むしろ、さらに重要になっているとさえ思われます。

志を持って、異文化に揉まれ、それを知見として身につけ宇和島に持ち帰ってくれる若者たちをお助けできますよう、会のためにご尽力を頂いている皆様にあらためて心からよろしくお願い申し上げてご挨拶と致します。

宇和島の担い手の育成に関して、大規模ではないかもしれないけど…
ここにも極めて志の高い取り組みがある。
何より、設立当初の理念を引き継ぎながら、現在においては何ができるか。
そこをキッチリ見据えていらっしゃるということがよくわかりますし、胸を打たれるものがあります。

歴史的経緯をたどれば、旧市内と吉田、三間、津島の課題はそれはそれとしてあるとは思うのですが…。
今の情勢を考えれば、そうした地域の過去を越えて、南予というレベルで取り組んでいくことが望まれると思います。そしてそれはできることです!(^^)

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