水道の配管作業に挑戦 吉田高で体験授業
(中村設備の中村さんも、プロの背中を見せながらコミュニケーションしているようです)
12月8日の愛媛新聞の記事です。
注目したいところを記事の後に記述します。まずはご覧ください。記者は石田一真さん。
「職業選択の参考にしてもらおう…」そういう意図で水道工事に関する授業があったそうです。授業があったのは吉田高校機械建築工学科の1年生38人。
これはある種の「キャリア教育」ですね。このことについてはこの記事の後半で考えます。
県管工事協働組合連合会の佐藤隆史理事長は、
「将来的に一人でも多くの生徒が管工事に携わってもらえればうれしい」と話していた、とあります。管工事に携わる人材が不足している、あるいは不足する可能性があるということかもしれません。
吉田高の鎌田一樹さん(16)はこう言っています。
「実際に作業をしてみて…、興味が持てた」
体験によって興味がわく。体験が関心を呼び起こす。
ここ。すごく重要な意味を持っているように感じます。
将来の可能性を持ちながら、それを具体的に発揮する知識・技術・動機を持たない高校生。
知識・技術はありながら、将来の担い手の確保に課題がある業界。
地域の生活や産業活動を支える重要なインフラ(ここでは水道)。そのプロ(シゴト人)が高校生(地域の担い手)にアプローチしたことで、今回の「交流の場」は創り出されました。
地域の若者が、地域を支える職業とつながる可能性の「種」が蒔かれた機会だっと見るこができると思います。この場がなければ、種が蒔かれなければ、この先の収穫はないのだと考えると今回のイベントの意味の重さがわかったように思います。
お互いのニーズが重なり合う部分がある。そういうテーマで人と人との出会いと交流の場をつくることによって、人の興味や関心が生まれる。そのことが交流したそれぞれの人の期待や欲求を満たすと同時に、地域の持続可能性にも寄与する。そういうことなのかもしれないですね。もしそうだとすると、このことの応用範囲は広いと思います。観光とかもね。
さて、冒頭で「キャリア教育」について触れました。少し考えてみます。
その前に…、「組織」と「地域」は違うでしょうか。それとも同じでしょうか。
「組織」とは何か。様々な定義や考え方が存在しますが、こんな説明の仕方もあるようです。
組織は以下の3つの要素を満たす人の集まりである
<組織の3要素>
共通の目的をもっていること(組織目的)
お互いに協力する意思をもっていること(貢献意欲)
円滑なコミュニケーションが取れること(情報共有)詳細はこちらをご覧ください。
組織が成り立つために必要な3つ要素
「地域」とは「そこに住む人々やそこを訪れる人々の幸せという共通の目的をもって、協力して生活や活動をする人々でなりたっている」と考えるなら、「地域」とは「組織」であるという見方もできるように思います。
話を「キャリア教育」に戻します。
次の記述は「企業内キャリア教育の重要性について」からの一部抜粋です。
「組織」「企業」を「地域」と置き換えて読んでみてください。全く違和感なく読めると思います。
近年、個人のキャリア開発が注目されています。また、キャリア開発の結果、「組織における個人が活き活きと仕事をすること」、「仕事を通して幸せを感じ、充実感を得ること」が、組織の成長を直接左右する時代であるという認識が広がりつつあります。
そもそもキャリア開発とは何でしょうか?
キャリア開発とは、人が自分の生涯を掛けて、仕事を通じて精神的・情緒的に発達、成長をしていく過程のことであると定義されています。では、人は仕事を通して何を実現しようとしているのでしょうか?
人の価値観や生き方が多様化する現代に生きる我々は、給料アップや、社会的ステイタスを得る、という動機付けだけでは、仕事へのやりがいを感じにくくなっています。そういった物質的なニーズより、むしろ自分を成長させたい、自分の存在意義、生きていることの意味を見出したいという精神的なニーズを仕事に求めるようになっています。まず人は、「生活のために」仕事をします。しかし、それに留まらず、「社会的に認められたい」という欲求を満たす仕事を求め、「自らを高めたい」という欲求を満たすために仕事に打ち込み、「何かに貢献したい」という目的のために人が仕事をしようとしている、そのような時代になってきています。
このような流れの中で、企業の在り方はどうあるべきなのでしょう?
「故郷、地域に貢献したい」という目的のために人が仕事をしようとしている、そのような時代になってきています。このように記述しても全く違和感ないと思います。
そのような志のシゴト人が宇和島にはたくさんいますよね。
だとすると「地域内キャリア教育は重要だ」と言えるように思います。
強調したいことは、宇和島には事実上「キャリア教育」になっている取り組みがたくさん存在していることです。ただし、それらの取り組みについて、それは「キャリア教育」の一環であるというふうには説明されていませんし、そのようにも認識されていないと思いますが…。
例えば単に「職場体験」とか「食育」とか「環境保全」とか…。その取り組みの持つ意味合いの中心的な部分ではあるのでしょうが一側面でしか説明されていないような活動です。
ここはチャンスだと思います。
それぞれの取り組みが持つ大きな意味を明確にして、そのような認識で関連付けて束ねていく。
モノを作る、コトをサービスする、そのことで収入を得る。単純にそのこと、その側面のみを目的とするのではなく、「地域のために貢献したい」そういう目的で仕事を選択し、そこから仕事へのやりがいや、自分の存在意義、生きていることの意味を見出す人が出てくるかもしれないからです。
なぜなら、現にそういう人たちがたくさんいるから…。