262)南予・宇和島 若者の流出が加速する危機が迫っているのではないか

11月11日の愛媛新聞です。
県内企業の高卒人材充足率が過去最低であることを報じています。
少子化の影響が進むなか、「全国的な人手不足等を背景に、企業の採用活動が積極化」している、「県内企業は採用計画の半分も確保できなかったことになる」とあります。
東予、中予、南予のエリア別の県外就職率は、やはり南予が29.6%と一番大きい。
企業による採用合戦が始まっているのだとすると、大きな企業がそれほどない宇和島はよほどしっかりとした対抗策を打たないと若者の流出が一層加速する可能性があるのかもしれません。
一方、対策のヒントもあるように思います。
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記事の元になる「いよぎん地域経済研究センター(IRC)」の調査の概要は次のとおりです。(太字は私の施しです。)

【調査概要】
・ 「高卒は金の卵」の時代がやってきた。全国的な人手不足等を背景に、企業の採用活動が積極化しており、県内の高校新卒者の求人数は求職者数を大きく上回っている。

・ 2016 年3月に卒業した県内の高校生 11,581 人のうち、就職した生徒は 22.6%(2,614人)で、このうち県外企業に就職した生徒は 19.1%(501 人)だった。

高校生が就職先企業を選ぶ基準について、関係機関にヒアリングを行ったところ、「先輩が就職しているかどうか」という回答が圧倒的に多かった。また、保護者の意見に強く影響されるため、「生徒だけでなく、保護者が知っている会社かどうか」も重要となる。

エリア別に県外就職率をみると、東予は 13.6%、中予は 19.3%、南予は 29.6%となり地域差がみられた。近年、保護者・生徒ともに地元志向は強まっていると言われるが、特に南予では地元に希望する職がなく県外企業に就職する場合が多いほか、瀬戸内圏内であれば準地元と考える保護者も多いようだ。

・ 一方、県内企業は採用活動の早期化や学校との関係構築など、採用活動に力を入れているが、求人数が求職者数を大きく上回り応募者が減るなかで、高卒者の確保は難しくなっている。

・ 企業にとっても地域にとっても持続的発展のためには若年人材の確保が不可欠だ。企業訪問インターンシップなどの機会を通じて企業と生徒の接点を増やすことは、県内企業の人材確保につながるほか、採用時のミスマッチを解消し離職率を改善する効果が期待できる。また、県内企業は働く環境の整備自社の魅力発信に努めるほか、企業と行政が協力して早期離職者を受け入れる環境を整えることも必要ではないか。

○就職先企業を選ぶ基準
先輩が就職しているかどうか
保護者の意見も影響が大きい
○企業にとっても地域にとっても持続的発展のためには若年人材の確保が不可欠
企業訪問インターンシップ(就業体験)などの機会を通じた企業と生徒の接点の増加
(県内企業の人材確保につながるほか、採用時のミスマッチを解消し離職率を改善する効果が期待できる。)
働く環境の整備、自社の魅力発信

以上が、傾向と対策のポイントとなるようですが、宇和島には大きな企業少ないのだとすると、「企業」を「地域の人」と読み替えて考える必要があるように思います。
企業と生徒ではなく、地域の仕事や大人と生徒との関係性や繋がりを深めていくということですね。

対策のヒントは次のようになるのではないでしょうか。

○シゴト人訪問インターンシップ(就業体験)などの機会を通じた地域のシゴト人と生徒の接点の増加
○働く環境の整備、地域のシゴト人の魅力発信

平成20年から「宇和島シゴト人バスツアー」が行われ、今は「カタリバin宇和島」に引き継がれています。その他にもさまざまな素晴らしい取り組みがあります( 中には多少手を加える必要があるものもありますが…)。
例えば…
・うわじま子ども観光大使
・元気うわじまサポートバンク
・アグリスクール
・中学校の職場体験学習
・宇和島水産高校の地域活動
・認定漁業士や地域の方々などによる森里山食プログラム
・宇和島東高校のスーパー・サイエンス・ハイスクール
・宇和島南中等学校のスーパー・グローバル・ハイスクール
・ようこそ先輩
・インターンシップ
・地域起こし協力隊
・宇和海水産構想
などなど…、他にもたくさんあります(子育てサークル Baby Cafe ナナココロとか…)。
問題は、それぞれが、それぞれに、ほそぼそと、ばらばらに行われていることです。
方向性を合わせ、連携させることができれば、それだけでもかなりの成果を期待できます。
現に存在する取り組みを束ねるだけで全然違ってきます。

伝えるべきものは、マインド(愛郷心)、ナレッジ(起業の知識とかも)、スキル(地域産業の技術とか)が中心になっていくと思います。

人口減少そのものは避けられません。
地域の「人口が減り続ける」こと、そのような構造が存在することが問題です。
最大の原因は、南予と宇和島においては、若者の流出です。
地域の担い手がいなくなってしまっては、他のどんな施策も意味がありません。
何を成すにも、結局のところ『人』。その施策の担い手がいなくなってしまいますから。

少し前になりますが…、10月27日の愛媛新聞の記事です。
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次の画像が記事にある「いよぎん地域経済研究センター(IRC)」の調査結果です。
(3ページあるうちの1ページ目の調査概要の部分)


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次のリンクからいよぎん地域経済研究センター(IRC)の調査結のPDFが開きます。

「県内の高卒新卒採用の現状について」

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