239)宇和海水産構想推進協議会主催 御荘中学 イカの解剖通し水産研究に触れる(愛大南予水産研究センター)

今回、注目したいと思っているのは「宇和海水産構想」のことです。

愛媛新聞の9月27日の記事に次のようにあります。
御荘中生の生徒7人がイカの解剖に挑戦、生態について学んだ。
「地域を担う、地域の子どもに、地域の可能性を知ってもらう機会の創出」
そこがこの記事のサイエンスキャンプのポイントだと思います。
%e3%82%a4%e3%82%ab%e3%81%ae%e8%a7%a3%e5%89%96%e3%82%ad%e3%83%a3%e3%83%b3%e3%83%97%e3%80%80%e5%ae%87%e5%92%8c%e6%b5%b7%e6%b0%b4%e7%94%a3%e6%a7%8b%e6%83%b360
今回特に注目したいのは記事の「宇和海水産構想推進協議会(宇和海に面する愛媛・高知の6市町村でつくっている)」が開催したという部分です。

「宇和海水産構想」とは何か?
この構想を推し進めていくことは、今後の南予にとって極めて重要だと思います。
%e5%ae%87%e5%92%8c%e6%b5%b7%e6%b0%b4%e7%94%a3%e6%a7%8b%e6%83%b3%e3%80%80%e3%83%88%e3%83%83%e3%83%97%e3%83%9a%e3%83%bc%e3%82%b860

「宇和海水産構想」の「理念・目標」にはこうあります。
この構想の「志高い」コンセプトが見えてきます。
地域の多くの方々が力を合わせていくことが不可欠になりつつある状況にあって、それゆえ多くの方々が共感できて、賛同できる方向性が明示されている意義は大きいと感じます。

水産振興で宇和海地域から
世界の食糧問題に貢献しよう!

宇和海に面する地域には、古くから濃密な水産コミュニティが形成されている。
これらをさらに発展させて、地域の産学官民が一体となってマリンイノベーションを興し、豊富な海洋資源、膨大な自然、おもてなしの文化などが人々の心に自然とイメージできる
「宇和海」ブランドを確立する。
このことにより地域振興を図り、ひいては日本の食文化を向上させ、
世界の食料問題の解決に貢献する。

「構想の背景」としては次のように説明されています。

宇和海は日本でも有数の水産基地であるが、近年、水産資源の枯渇が危惧され、水産業の存立基盤が揺らいでいる。

今後、水産基地であり続けるためには、水産資源の回復とその持続的利用をめざすとともに、養殖技術の開発新流通システムの構築後継者の育成等、多くの課題を解決しなければならない。
そのための宇和海地域の宇和海水産構想が必要であり、そのもとに地域が一体となってイノベーション(革新・新基軸)する必要がある。

本構想は、豊後水道東域の北端域の三崎灘から宇和海、そして南端域の宿毛湾にいたる県域をまたいだ地域が一体となって水産クラスターを形成し、地域の再興をめざすもので、地域の産業革命と言える取組みである。

基本目標として3つかかげられています。
○ マリノイノベーション
○ 環境保全
○ 人材育成

ここでは特に「人材育成」にスポットをあててみます。
概要では次のように説明されています。

地域水産業活性化のための人材確保・育成や、地域が一体となった啓発を効果的に行う。また、国内外へのぎょしょく教育の普及を推進する。

具体的には4つの柱が示されています。

1. 専門教育の推進
漁業者、加工業者等、職業に活かせるスキルを体系的に学べる仕組みを構築する。
2. 地域還元型人材育成
地域資源を活かし、新たな仕組みや新しい価値を創出する”マリンイノベータ”を育成する。
3. ぎょしょく教育・食育の推進
魚の機能・効能・食べ方に対する正しい知識を学習し、魚の価値向上を推進する。
4. 自然学校の設置
海の大切さを学ぶ場所と機会を提供する。

詳細はこちらをご覧ください。
http://uwakai-inove.jp/policy-schedule/development/

その他、関連の記事を以下3つ紹介します。

宇和海の水産連携、事業化狙う協議会 愛媛大と6市町
2011/5/17付の産経新聞。「宇和海水産構想」の策定前の記事です。
一部を抜粋します。

愛媛大の南予水産研究センター(愛南町)の山内晧平センター長は「漁業者がもうかる新しい仕組みを作りたい」と表明した。

事務局機能は当面、6市町の最大都市である宇和島市が担う。6市町と愛媛大は協議会発足後に「産学官民連携部会」「観光部会」など、テーマごとの研究部会を設置する方向で検討している。

水産を核とした地域イノベーションー宇和海水産構想のもとで
(愛媛大学社会連携推進機構 教授、愛媛大学南予水産研究センター長◆山内晧平)
構想の中心的役割を担っている山内先生が海洋政策研究所の「Ocean Newsletter」第291号(2012.09.20 発行)に寄稿された記事です。その冒頭で次のように指摘されています。

わが国では経済のグローバル化の影響を受けて安価な輸入水産物により、地域の水産業が衰退し、地域社会が疲弊し、水産業・漁村のもつ多面的機能が発揮しにくくなっている。
まず、水産業を核とした地域イノベーションを興し、「人間の安全保障」としての新しい水産食料生産システムの創出が必要である。その実現に向けては、産学官に住民を加えて活動する世界を見据えた地域将来構想が欠かせない。

https://www.spf.org/opri-j/projects/information/newsletter/backnumber/2012/291_1.html

産学官金連携で水産業を振興する
「えひめ水産イノベーション創出地域」プロジェクトディレクター 亀岡 洋一氏に聞く
これまでの経緯や現状、今後の課題がわかります。
記事は次の記述で始まっています。

―「えひめ水産イノベーション創出地域」プロジェクト*2のこれまでの経緯について簡単にお話し下さい。
亀岡 基本的には、2012年3月に策定された宇和海水産構想*3という宇和海地域の6市町による地域の活性化策を推進支援するための5年間のプロジェクトです。

このプロジェクトは、「水産業の振興を通じた地域の活性化への貢献」「研究開発による地元漁業者の直面する課題解決」「地域の水産資源を活用した6次産業化の推進」の三つを目的に動いています。研究の成果を地域の水産業の振興に反映させて、地域の活性化に貢献することを主眼に置いたプロジェクトであると最初にうたっています。それを実現するために、大学の地域貢献のための研究を利用して宇和海の水産業が抱えている問題を解決しようというわけです。
2008年に北海道大学におられた山内晧平(やまうち こうへい)先生が愛媛大学南予(なんよ)水産研究センター(愛媛県南宇和郡愛南町)のセンター長になられ、山内センター長が中心となって6市町と宇和海水産構想を練り上げました。そして2012年に「えひめ水産イノベーション創出地域」に選定され、公益社団法人えひめ産業振興財団が総合調整機関となって、新しいプロジェクトがスタートしたというのが経緯です。事業開始から4年が過ぎて、現在は5年目の最終年度に入ったところです。

https://sangakukan.jp/journal/journal_contents/2016/05/articles/1605-02-1/1605-02-1_article.html

今後の動向を期待しながら、これからも注目していきたいと思います。

フォローする