149)伊達藩校の復活が、宇和島の可能性になる(第2回)

【今回のポイント】

伊達藩校が果たすべき役割は「将来の宇和島を担う人材の育成」ということなのですが、そのための機能のメインは次の3つです。
1 愛郷心を育むこと
2 縦横の絆を強めること
3 仕事を教えること(ざっくばらんに言うと「稼ぐ」ノウハウを教えること)

つまり、「何のために」「誰と関わりながら」「何を、どのようにする」のかを獲得させる。
実行できるレベルまで伝えることに取り組む。
そういうことになると思います。

正確に言えば、それは教えたり与えたりするのではなくて、できれば自らの様々な経験を通じて、自らを振り返り、自分のこととして気付く。
そして他から押し付けられたものではなく、自らが発見した自分の方向性や欲求又は意欲をもとに、実行し、実行を積み重ね、実力をつけていく。
そのことに自分自身の存在の価値や意味も見出していく。
そういう体験、気付き、決意、挑戦、実行、納得の機会を地域の大人が地域を担う若者に提供する。そのような働きかけの機能とネットワーク。
ひとことで言うなら、そういうことだと思います。(全然ひとことになっていません。笑)

以下、詳しく考えてみます。
最後に、コーノ・ディレクションさんのFaceBookの記事をご覧いただきたいと思います。

■1 愛郷心を育むこと
「愛郷心」というとちょっと情緒的で、抽象的で、具体的には何のことだかよくわからない感じがします。

こいうふうに考えると割とスッキリ入ってくるのではないでしょうか?
「あなたの人生で大切なものとは何ですか?これだけは譲れないものとは何ですか?」
「これのために力を尽くしていきたい。そう思えるものとは何ですか?」
そう問われたら、あなたは何と答えますか?

答えは一つではないと思います。
家族や恋人のため。それもあると思います。いろいろ思い浮かぶものがあるのではないでしょうか。
なかには「お金」と答えた人もいるかもしれません。生活していかなくてはいけませんし「お金」は確かに大切だとは思いますが、でもそれは、たぶん最終的には「手段」であって「目的」ではないでしょうね。

「自分をここまで育ててくれた故郷、故郷の先輩、苦楽をともにした故郷の仲間、自分たちに続く故郷の後輩」
故郷は大切なもののなかの一つに入ってきてもいいはず。そういうものだと思います。

ところで…。
大切な人が困っている時、手を差し出さない人がいるでしょうか?見て見ぬ振りをできる人がいるでしょうか?

大切な人が困っている状況ですから、それと関わるということは一緒になって苦労を背負い込むことになるのかもしれません。
仮にそうだったとして、そのことはその人にとって、そうしたくないってことなのでしょうか?それとも、大切なあの人のためなら苦労を背負ってでも何とかしたい。そういうことなのでしょうか?

「大切なもののために力を尽くす」
それはその人にとっての誇りとか、やりがいとか、生きがいとか、そういうものだと思います。

今、宇和島は人口減少という目に見えない、しかもジワジワとヒタヒタと、意識しないとそれと気づけない速度で迫ってくる巨大な敵に追われています。
もし、その人が生まれ育った故郷に感謝をし、誇りを持ち、愛しているなら、そういう巨大な敵、困難から、目をそらし、逃げるんじゃなくて…。
大切な故郷のためなら…、「なんとしてでも力を尽くしたい」そういう気持ちが出てくるものではないでしょうか。

「宇和島には、お金がない、仕事がない、遊ぶところもない、寂れている。」
宇和島をそう思っている人に、苦境にたたされつつある宇和島のために何か負担を背負う、そんな気持ちが出てくるものでしょうか?

高校生は宇和島のことをどう思っているのでしょう?彼らがそのような宇和島のイメージを形成してしまった原因はどこにあるのでしょうか?
(宇和島の高校生が地元・故郷にどのような印象を持っているか、次回以降、このことも確かめる必要がありそうですね。)

縁あって宇和島に生まれ、様々な恩恵を受けてここまで育ててもらった故郷。その「縁」と「恩」。

感謝、自信、誇り、愛郷心。これを持てたか、持てなかったか。その人の生き様にも大きく影響することだと思います。

宇和島の大人は、宇和島を担う若者に愛郷心を持たせてやりたいですね。それは、いわば彼らが彼らの心から納得のいく人生の果実を摘み取るための種まきだと思います。

そして、愛郷心を育むことが、種まきならば、
■2 縦横の絆を強めるということ
■3 仕事を教えるということ
これは収穫のための肥しや水やりに相当するのかもしれません。

最後にこちらをご覧いただきたいと思います。
「何のために」仕事をするのか、生きるのか。それを見せてくれている方々がいます。
コーノ・ディレクションさんのFaceBookの記事です。

「美味しさへのこだわりは戸島島民の誇り」
「世間の流れに逆らってでも美味しい鰤を目指してきた」
「戸島を誇り高い“ぶりの島”として子供らに残してやりたい」
「鰤ならどこにも負けんぞ」
「胸を張って生きていける島」

お金よりも利益よりも、優先させているものがある。それが「誇り」だと。
こうした方々の、誇り、志、心意気、生き様。
そしてこうした生産者の方々とその事業が宇和島の誇りでもある。
この冊子。宇和島の子どもたちに見せてやりたいですね。
この誇りを宇和島の子どもたちに伝えてやりたいです。

前回取り上げた、宇和島信用金庫さんの絵本と同じように、これからの宇和島を担う子どもたち(小学生から高校生まで)に知ってもらう価値があると思います。宇和島への自信と誇りを育むために。

ちょっと長くなりすぎました。今回はここまでにします。

次回は、今回の続きをアップします。
そして、現代における伊達藩校の創設の仕方、そのプロセスについても、いずれ考えていきます。

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